現地のカフェやレストランで働きながら、語学や異文化を肌で学ぶ。そのような従来のワーキングホリデーも、人生における素晴らしい経験です。
しかし、「日本での実務経験を活かして、現地のドイツ企業で本格的にキャリアを築きたい(オフィスワークや専門職に就きたい)」と考える20代・30代の社会人にとって、これまでは大きな壁がありました。それは、ワーホリの1年間だけで、現地企業に通用するドイツ語をゼロから習得し、並行して就職活動まで完了させるのは時間的に短すぎるという問題です。
そこで今、本気でドイツ移住・転職を目指す方から最も注目を集めているのが、「ワーキングホリデービザ」と、2024年6月に導入された新制度「チャンスカード」を組み合わせた「最大2年間」のキャリア戦略です。
本記事では、この2つのビザの相乗効果を最大限に活かし、ドイツでの就職活動を成功させるための具体的なステップをプロの視点から解説します。
ドイツで飲食業や接客業以外の専門職・オフィスワーク(現地のローカル企業)を目指す場合、求められるドイツ語レベルはB2~C1と高度になります。これを1年で達成し、さらに内定まで勝ち取るのは至難の業です。
しかし、ワーキングホリデー(1年)の終盤に現地でチャンスカード(1年)を申請することで、一度日本に帰国することなく、実質最大2年間ドイツに滞在することが可能になります。
語学学校の集中コースは、通常午前中(9:00〜12:30頃)に行われます。そのため、午後はアルバイトをしたり、休日に周辺国へ旅行したりと、ワーキングホリデーならではの自由な時間もしっかり楽しむことができます。
語学の壁をクリアした状態でチャンスカードに切り替え、残りの1年間を企業研究、面接対策、インターンシップなどに費やします。本格的なキャリア構築のスタートです。
この「語学」と「就活」をうまく分業する2年間のシナジーこそが、就職先の選択肢を最大化し、ドイツ企業への採用確率を高める戦略です。
チャンスカードは、人材不足の解消を目的にドイツ政府が新たに導入した「スキルのある外国人向けの就職活動ビザ」です。学歴や職歴を持つ非EU圏の外国人が、現地ドイツで直接仕事を探しながら最長1年間滞在できる制度です。
この制度の導入により、これまで「大学の専攻と職歴が完全一致していないとビザが下りない」という厳しいルールが緩和され、大学卒業者であれば専攻に関わらず多様な職業に就くことが可能になりました。
※ただし、企業側は即戦力となる「実務経験」を重視するため、これまでのご自身のキャリアの延長線上にある職種を狙うのが現実的です。
ドイツの現地企業(ローカル企業)で飲食業や接客業以外の専門職・オフィスワークを目指す場合、求められるドイツ語レベルは、原則として、B2~C1と高度になります。
近年はドイツ語をB2~C1レベルまでしっかり学んだ優秀な留学生や移民が増加したため、採用市場全体の基準が高くなっています。日系企業であっても「英語+日本語+ドイツ語」の3ヶ国語を話せる人材が求められる傾向にあります。
過去には確かにA2~B1レベル、あるいは英語力のみで就職できた方々もいらっしゃいました。しかし、その多くは日系企業での事務職や、日本食レストランでの勤務です。もちろん、そうした環境で働くことはドイツ生活の素晴らしい第一歩であり、それを否定するものでは全くありません。
したがって、就職先の選択肢を「主に一部の都市の日系企業」から、「現地のドイツ企業」まで大きく広げたいとお考えの方にとって、この2年戦略で1年目にしっかりと語学学習に投資し、高度なドイツ語力を身につけることは、間違いなく最適なアプローチと言えるでしょう。
チャンスカードを取得するには、大きく分けて以下のいずれかの条件を満たす必要があります。
原則として、ドイツで認定された大学の学位、または日本の職業資格を持っていること。
もし卒業された日本の大学の学位がドイツで完全な認定を受けられなかった場合でも、「ポイント制」を利用して合計6点以上を獲得することで申請が可能です。
【出身大学の認定状況を確認するには?】
卒業された大学がドイツでどのように評価されているかは、世界中の教育機関の認定状況を確認できるドイツの公式データベース「anabin」にて検索が可能です。 まずはここで、ご自身の出身大学が、ドイツで公的な大学として認められる「H+」のステータスを持っているかを確認します。
⚠️ 通信大学・通信課程に関する大きな落とし穴
ここで、ビザ申請において注意すべき大きな落とし穴があります。 それは、大学自体が「H+」のステータスを持っていたとしても、その大学の「通信課程」で取得した学位が、ドイツの全日制(通学課程)の学位と必ずしも同等と認められるとは限らないという点です。ご自身の学位がどのように評価されるか、申請前に慎重な確認が必要となります。
| 項目 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 学歴 | 大学卒業・職業訓練資格など | 最大4点 |
| 職歴 | 2年以上の関連職務経験 | 最大3点 |
| 年齢 | 35歳以下(若いほど加点) | 最大2点 |
| ドイツ語学力 | CEFRレベルA2~B2以上 | 最大3点 |
| 英語学力 | CEFRレベルC1以上 | 最大1点 |
| 滞在歴 | 留学やワーホリでの連続6ヶ月以上のドイツ滞在歴 | 最大1点 |
| 条件項目 | 詳細 |
|---|---|
| 有効期間 | 最長1年間(延長不可) |
| 就労条件 | 滞在中の生活費を補うため、週20時間までのアルバイトや、1社当たり最大2週間のトライアル雇用(試用期間)も認められています。 |
| ビザの切り替え | 滞在中に正社員としての仕事が決まれば、そのまま就労滞在許可(就労ビザ)への切り替えが可能です。 |