先日、ヴュルツブルク、ミュンヘン、ベルリン、デュッセルドルフ、ミュンスターなどドイツ各地の語学学校を視察し、現地で学ぶ留学生たちと直接面談を行った際、大学進学準備において常に寄せられる共通の質問がありました。
「自分にとって、どのドイツ語試験が一番適しているのでしょうか?」
ドイツの大学でドイツ語で開講されるプログラムへの進学を希望する場合、公式なドイツ語証明書の提出は避けて通れません。
(※英語のみで開講される学位プログラムを志望する場合は、通常IELTSやTOEFLなどの英語スコアで出願可能です。)
しかし、いざドイツ語での進学を目指すとなると、telc C1 Hochschule、TestDaF、DSH、そしてゲーテ・インスティテュートの検定試験など、選択肢の多さに最初は戸惑う方も多いでしょう。それぞれの試験には独自の特徴、出題形式、そして難易度(ハードル)が存在します。
本記事では、日本からの志願者にとって代表的なドイツ語試験をご紹介し、皆様がご自身のドイツ大学進学の道のりに「最適な選択」ができるよう、それぞれのメリットとデメリットをわかりやすく徹底比較いたします。
近年、外国人大学志願者の間で最大規模かつ最も人気のある公認語学試験となっています。アカデミックな場面でのドイツ語運用能力に特化して評価されます。
| 分類 | 特徴・ポイント | 詳細内容 |
|---|---|---|
| メリット | 完全な公式認定 | ドイツのすべての大学の入学登録、およびビザ(滞在許可)申請において公式に認定されています。 |
| メリット | 高い利便性と柔軟性 | ドイツ全土に数多くの公認試験センターが存在し、日程の選択肢が豊富。他校の生徒でも何度でも受験可能で、半年間に4〜5回の受験機会を設けることも容易です。 |
| メリット | 対面式のスピーキング | スピーキング試験は、実際の人物(面接官およびペアの受験者)との対面形式で実施されるため、コミュニケーションが取りやすいです。 |
| デメリット | B2レベルの救済措置なし | C1レベルのみを判定する試験です。合格点にわずかに届かなかった場合でも不合格となり、B2の証明書は一切発行されません。 |
| デメリット | 日本での受験不可 | 残念ながら、現在日本国内でtelc C1 Hochschuleを受験することはできません。現地(ドイツ)での受験が前提となります。 |
TestDaFは、大学進学向け語学試験の「王道」であり、世界基準で標準化されている点が特徴です。日本に居ながら出願準備を進めたい方に特にお勧めです。
| 分類 | 特徴・ポイント | 詳細内容 |
|---|---|---|
| メリット | 完全な認定と柔軟性 | ドイツのすべての大学および外国人局で無制限に認定されています。受験回数に制限はありません。 |
| メリット | 幅広いレベル判定 | 複数のレベル(B2〜C1)にまたがって判定されます。獲得ポイントに応じてB2またはC1レベルに認定されるため、実力が反映されやすいです。 |
| メリット | 日本国内で受験可能 | 獨協大学やゲーテ・インスティトゥート東京(港区)などで受験可能。日本からの志願者にとって最大のメリットです。 |
| デメリット | デジタル形式でのスピーキング | スピーキング試験はコンピューターに向かってマイクで話す形式が多く、対面での対話に慣れている方は苦戦する場合があります。 |
| デメリット | 変動する合格ライン | 合格に必要なポイントは、その回の試験の全体的な難易度によって変動します(易しい試験ほど、合格により多くのポイントが求められます)。 |
DSHは、各大学が独自に作成し実施する伝統的な語学試験です。
| 分類 | 特徴・ポイント | 詳細内容 |
|---|---|---|
| メリット | 費用を抑えられる | 大学附属の準備コース(DSH準備班)を利用する場合、無料または大幅に費用が補助されていることが多いです。 |
| メリット | 段階的なレベル判定と対面試験 | スピーキングは面接官との対面形式。また、導入部分に「易しい」問題が含まれており解答に取り掛かりやすく、B2〜C1+まで幅広く判定されます。 |
| デメリット | 実施場所と日程の制限 | 原則として大学でのみ実施されます。各大学につき、年に1〜2回(通常試験および追試)しか受験の機会がありません。 |
| デメリット | 不確実な受験枠と高い難易度 | 「申し込み」ではなく「応募」形式となり、人気の枠は抽選になることも。また、レベル上限がC1+に設定されているため、大学特有の非常に難解な問題も出題されます。 |
ゲーテ・インスティトゥートの検定試験は世界中で認知されており、日本国内でも受験でき、ビザ申請にも有効です。
しかし、これから大学進学を目指す方にとっては、重要な注意点があります。それは、ドイツの多くの大学において、Goethe C1では入学要件として不十分とされることが多いということです。
通常、大学への正規入学には最高峰である Goethe C2 の取得が必須条件となりますが、これは極めて高度なネイティブレベルを要求されるものです。さらに、他の試験と比べて受験料が比較的高い傾向にあるという点も、考慮すべき要素です。